まさかの隠しモーターの自転車内蔵
嘘のような本当の話でありますが、なんと世界選手権で自転車に隠しモーターを仕込み不正が発覚しました。
隠しモーターの搭載が発覚したのは、ベルギーで開催されたシクロクロス競技のU-23の世界選手権に出場した地元ベルギーの女子選手の自転車です。
最初は「モーターの威力を利用して驚異的なスピードで走りぬけた」からばれたのかと思いましたが、メカトラブルで回収した車両を検査したときに発覚したそうです。
そもそも、そんなことなんで気づかないのかとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、外国では既存の自転車を電動化するキットは実際に販売されており、自転車そのもののデザイン性を担保しつつ電動化が図れる活かしたキットもあるわけです。
「Vivax Assist 4.0」はこんなに見た目がスッキリ
おそらくこの選手が使用していたモーターは以下の「Vivax Assist 4.0」なのではないかと思います。このモーターを内蔵した自転車の画像がこちら!
どうですか、 この違和感のないたたずまい!
一体どこにモーターがあるのだとお思いですが、こんな風にシートチューブ内に内蔵されております。さらにはご丁寧にボトルに偽装したバッテリーキットまでw
出典:http://ennori.jp/news/article/1776
スペックは以下のようになっております。
出力:200w
バッテリー:リチウムイオン電池
6Ahタイプ 稼働時間:60分 重量:850g
9Ahタイプ 稼働時間:90分 重量:1,250g オプション €199
ボトルタイプ 6Ah 稼働時間:60分 重量:950g オプション €399
適合サイズ:シートチューブ 31.6 mm か 30.9 mm
専用シートポスト アルミ/カーボン/cane creak
重量:1.8kg バッテリー含む
基本セット €499(約65,000円 2016.2.2現在)
一番高いセット €3,665(約480,000円 2016.2.2現在)
モーターの出力は200Wとでサイクリストが苦しいときのアシストには十分な出力だそうです。稼働時間は60分からと有事の際にのみ発動させるのであれば、結構有用そうです。
UCIではこのような不正を予測しており、不正機器が発する高周波電波を検出するタブレット端末で検出を行っているとのこと。
今回もこのタブレット端末のお手柄だそうです。
以前は薬物ドーピングが話題になりましたが、今後はこういったメカニカルドーピングに対する対策も強化しなければいけないわけですね。
不正が発覚したベルギー選手は引退を表明
なお後日談ですが、上記ベルギー選手は不正が発覚した二ヵ月後の3月14日に引退を表明しました。「無罪を勝ち取るのは不可能」として、規律委員会での弁明を断念したとのことです。
実際にどうであったかはわかりませんが、鍛え上げた身体能力、技術を競うことが基本のスポーツにおいては当然のことなのかもしれませんが、結局のところ、故意だったということなんでしょうか。
オフロードコースを走る自転車のシクロクロス世界選手権で女子のフェムケ・ファンデンドリエシュ(ベルギー)の自転車から「隠しモーター」が見つかり「機材ドーピング」として波紋が広がっていた問題で、同選手が14日の声明で競技からの引退を発表した。AP通信が報じた。
「無罪を勝ち取るのは不可能」として、規律委員会での弁明を断念した。1月にベルギーで行われたU-23(23歳以下)のレースで、同選手は車体のトラブルで途中棄権したが、その後の車体検査で不正の疑いが浮上。国際自転車連合(UCI)はトップレベルの大会で技術的な不正が確認されたのは初めてとしていた。
引用:日刊スポーツ
当然ですが不正行為そのものは、ツール優勝等で有名なエディメルクス氏にも「永久に出場停止にするべき」、「もうサイクリングではなく、モーターサイクリング、オートバイレースのトップ選手と一緒に走ればいい」と厳しく批判もされていました。
「Cycling News」の報道によると、メルクス氏は女子のツアー・オブ・カタールの開幕前夜、ドーハで取材に応じ、電動モーターの不正使用について「でき得る中で最悪のことだと思う。オートバイで走るようなものだ」と非難した。
メルクス氏自身は、健康のために電動アシスト自転車を利用し、ヒルクライムも楽しんでいるといい、「(電動アシストがあれば)現役時代よりも速く走れる」とその強力なアシスト力に言及。「これは(薬物の)ドーピング以上だ。場合によっては50ワット、いや100ワットですら出力を上げられる可能性がある。それはもうサイクリングではなく、モーターサイクリングだ。(オートバイレースのトップ選手)バレンティーノ・ロッシと一緒に走ればいい」と、強い口調でメカニカルドーピングの不公平さを訴えた。
引用:SANSPO.COM
自転車界の重鎮も敵に回ってしまい、非常に風当たりの強い状態であったことは間違いありませんので、引退という決断は当然の幕引きであったのかもしれません。
「Vivax Assist」の製造元はむしろウハウハ?
しかし、今回は不正という形で有名になった上記の電動アシストシステム「Vivax Assist4.0
」ですが、このシステムに対する評価を下げるようなことはなく、むしろ非常の効果のある宣伝になったのではないかと思います。
製造会社のGruber Antrieb GmbH & Co.には問い合わせ殺到でしょうね。
日本でのどこかの代理店が販売してくれないかな?
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。