メジャーレースでの活躍や女性向け専用設計のロードバイクをリリースするなど、その精力的な活動から日本でも盛り上がってきたロードバイクブランド「CANYON」。
そんな「CANYON」の最大の特徴はショップ(小売店)や代理店を通さない直接販売です。
PC等では一般的になった直販形態は自転車業界に根付くのか?
大手なるしまのCANYONへの見解に他店舗の反応は?
直販体制の特徴は中間業者や小売店に支払うマージンを排除できることによる低価格化、われわれ購入者が享受できるメリットです。
見方を変えれば「CANYON」のロードバイクが幾ら増えても、小売店にはあまりメリットはないわけですね。
あの有名店である「なるしまフレンド」が「CANYON」の自転車のメンテナンスに応じないという見解を公式の発表したのはなかなか衝撃的でした。
なるしまにとって、CANYONの持ち込み客はそれほど旨味がなく、メンテナンスやパーツ購入による継続的な関係構築よりも、ロードバイク完成車購入による初回の利益のほうがメリットが大きいと判断したのかもしれません。
大手専門店が下した判断に他店舗が追従すれば、CANYONの日本市場での製品展開は絶望的なわけですが、今後の動向が気になるところ。
ネット通販の流れに逆らうのか、それとも順応するのか?
しかしながら、中間マージンという既得権を廃した流通形態が今後の主流となるのは、ある意味は避けることはできないと思います。
代理店・小売店を通さないネット通販の破壊力ですが、これらを「排除する」のではなく「受け入れる」ことを選んだ商法もあります。
自動車用のタイヤはネットで購入すると驚くほど安く購入できるケースがあるのですが、自動車のタイヤは素人ではなかなか取り扱えるものではありません。知り合いの整備工場にお願いできる人だけが利用できるものなのかと思っておりました。
しかし、最近ではおおやけに「持ち込みOK」と表示し、ネット通販利用者を取り込む動きを見せている店舗も出現しております。
ビジネススタイルは異なりますが、ある意味ネット社会の流れに順応した対応とも言えます。
自動車のタイヤの話ではなく、自転車の話に戻しましょう。
同じく他店舗購入となる海外通販からの購入したロードバイクの持ち込みですが、こちらも小売店にとっては「CANYON」と同じ穴のムジナと言えます。
海外通販の完成車購入に対して全店舗が「持ち込みNO!」を掲げているわけでもなさそうです。それが如実に分る例が海外通販大手「サイクリングエクスプレス」が展開する「自転車商品受取・組付サービス」です。
こちらはネットで注文したバイクが直接購入者に送られるのではなく、「指定した国内の実店舗に発送され、その実店舗で組付け後に受取れる」という、海外通販でありながら実店舗との橋渡しも担ってくれる優れたサービスです。
もちろん協賛店舗に限定されるわけですが、かなりの数の店舗が登録されております。これらの店舗は「ロードバイク完成車の販売利益」でなく、「メンテナンスやパーツ購入による継続的な関係」を重視したと言えます。
「ロードバイクを購入したお客様に排他的なサービス」という考えではなく、他店購入のものでも幅広く受け入れるのは、「ユーザーとの信頼関係」を築き上げる自信の表れかもしれません。
「CANYON」に見る流通形態の変革がグローバリゼーションとするのであれば、自転車小売店も「ロードバイク購入者限定特典」といった囲い込みではなく、「ユーザーがまた来たくなる」ようなサービスを模索する必要があるのかもしれません。
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。